平成20年10月3日
五 小 の 風 景 No.6
五日市小学校長
国政 直文
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正しい知識を
情報が氾濫している現在,どの情報が正しくてどの情報が正しくないのかを判断することは非常に大切なことであると同時にとても難しいことでもあります。しかし,こういう時代だからこそ,きちんと情報を精査し正しい知識を獲得する必要があると思います。正しい知識がなければ,正しい判断はできず,正しい判断ができないと,正しいと思って行ったことが全く無駄なことだったりする場合もあります。まさに「 間違った知識は間違いを生み出す。」です。
例えば,最近とても関心が高まっている環境問題についてもそのことが言えます。
つい最近読んだ「偽善エコロジー」(武田邦彦 著)の中に,正しい知識を持たないといかに無用な心配をすることになるかという文章がありました。 「温暖化と北極,南極の氷の関係」について述べられたものでした。少し紹介してみます。
『まず,北極の氷。北極の氷のほとんどは海に浮いている。海に浮いている氷はアルキメデスの原理によって,解けても凍っても海水面は変わらない。つまり,水と氷は同じもので,もし水が氷になって重たくなれば氷は沈むが,実際には軽くなるため,水に浮かぶ。なぜ水が凍ると軽くなるかというと体積が増えるから。どれくらい体積が増えるかというと,海の上に見える氷の部分だけ大きくなる。だから,浮かんでいる氷が解けると,もとの体積,つまり氷の海の下にある,見えないところの体積に戻るので,まったく水面は変わらない。 次に,南極の氷。南極の氷は気温が「暖かくなる」と少し「増える」。南極では、周囲の海が暖かくなると、海から立ち上がった蒸気が南極大陸の中心部に雪となって降るので氷が増える。もともと、現在の南極大陸の氷は雪からできたもので、中心部の気温が2〜3℃高くなってもその状態は変わらない。このように、温暖化によって心配されている北極南極の氷はそれほど心配したことはない。』
この文章からも分かるように,今伝えられている情報がすべて正しいとは限らないのです。本当にそうなのかどうかという態度で慎重に検討することが必要だと思います。
したがって,私たち達大人もそうですが、子ども達にも,いろいろな情報に接したとき,すぐに鵜呑みにするのではなく,「本当にそうなのかな?」という気持ちを持って接してほしいと思います。そして,こういう態度を日々の学習活動の中で大切にしてほしいと考えています。
新しい学習指導要領(学校で教える内容と詳細について定めているもの)が発表されましたが,その中で「基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力その他の能力をはぐくむとともに,主体的に学習する態度を養う」という方針が打ち出されています。
いろいろな学習場面で,「本当にそうなのかな?」という態度をもつことが,まさに「主体的に学習する態度」に繋がっていくのではないかと考えます。
日々の学習活動の中で,子ども達にこうした態度を身につけさせることができればと思っています。